20XX年、人類は今、未曾有の危機に直面している。
未知のウィルス「ムキリョク」の蔓延によって、30代に足を突っ込んだ男性はたちまち、無気力になっていったのだ。
あ〜めんどくせぇ。なんで俺がこんな仕事しなくちゃいけねぇんだよ
たった今、目の前の友人が「ムキリョクウィルス」に感染。彼は元勇者になってしまった…
この国では、ほとんどの男性が生まれつき勇者の素質を持っており、様々な場所に派遣されて、腕を磨き勇者として日々戦っている。
勇者の中には国王から認められた証、勇者バッチをつけている真の勇者もいる。彼らは全国民から尊敬されている偉大な勇者だ。
だが、私は勇者の中でもダントツの劣等生。戦闘能力も低く、特技も才能もない。
唯一の長所といえば、美容師泣かせの「毛量」くらいだ。
そんな私の仕事といえば、お茶汲みやゴミ捨てといった雑用。人々を守るために死闘を繰り広げる勇者とは程遠い仕事をしていた。
時には商人、役者、職人、etc…
少しでも勇者として役に立つための足しに慣ればと思い、職を転々としたこともあった。…が、これといった才能は開花しなかった。
常日頃から様々な活躍を見せ、人々から感謝される勇者たちを見るたび、
という強い憧れが日増しに強く湧き上がってきたのである!
まぁこれも若かりし頃はの話なんだが…
気づけば私は30歳。どちらかといえばうだつの上がらない勇者になっていた。
ひょんなことからギルドで知り合ったバトルマスター(女)と結婚し、息子も誕生。
実力的には底辺だが、立場的には某人気RPGゲームの「○ラクエ」のパパスと同じ立ち位置になったのだ。
30歳を超えた勇者は本来一番脂の乗った働き盛りだ。一方で私は、
と、自分の勇者としての人生に諦めかけていた。
しかし…そんなうだつのあがらない人生を送っていた私に「ある転機」が訪れる!
世界征服をたくらむ魔王ドセ・ムーリが復活し、一部の勇者を買収。
お金に目が眩んだ裏切り者の勇者たちは魔王と共に「ムキリョクウィルス」を共同開発し、世界に蔓延させたのだ。
ムキリョクウィルスは勇者の血が濃いものを精神的にポンコツにする恐ろしいものだった。
たちまち多くの勇者は「俺なんて、どーせ無理…」と使命を忘れ、無気力化。
愚痴・ため息・不平不満を吐き、さらにウィルスは人から人へと拡散していき…
家族、仕事、自身のこと、そういったありとあらゆることとの向き合い方をより良く改善せず放棄する、ただの腑抜けになってしまっていた。
そして、たった今、私の目の前にいた友人もムキリョクウィルスに感染したことが確認できた。
ムキリョクウィルスを拗らせ過ぎた勇者の中には、
- 金品などを人々から騙し取る者
- 自らの命を自らの手で奪う者
- 子供たちにやる気を奪うことを教育する者
などが現れ、国は大混乱!!
この事態を深刻に思った、国王は、ドセ・ムーリ討伐のために勇士を募ったのだが…
大半の勇者は無気力になってしまい、集まった数はわずかだった。
幸いなことに、様々な職へ浮気していたことで勇者の血が薄まっていた私は、この病にかかることがなかった(それはそれでショックだったが…)
そんな私の元へ、国王から白羽の矢がたち、勇者として国を守るために立ち上がることになったのだ。
国王は私にこう言った。
それができた時、君にこの勇者バッチを授けよう。
今この国には、君の旅をサポートするために与えられるリソースがない。
すまんが、旅の中で真の勇者になるための必要な知識を学び、経験を積み、装備を集め、共に戦う仲間も見つけて欲しい。この国の命運は勇者の君にかかっている。頼んだぞ!
正直自信はなかったが、真の勇者になるための絶好の機会だ。家族のために、国のためにも(自分の名誉のためにも)頑張ろうと思った。
そして旅立ちの朝を迎えた。
自信のなさが背中に出ていたのか…妻は私に向かって、こう言葉をかけたきた。
旅立つあなたに大変言いづらいのですが…
私一人では育児は難しいもの…
ですから暇を見つけては帰ってきてもらえますか?
私は妻に19:00以降は自宅に戻ること、旅立つ前に洗濯と掃除を済ます堅い約束を結び、旅立つことになった。
すべては大切な人たちを守る真の勇者になるために!
そして私は旅に出たのだが一体何から始めたらいいのか分からず、序盤で迷ってしまった。。。
話しかけてきた老人にことの経緯を話していると
謎の老人が仲間になった。これから一体どうなることやら…と思っていたのだが…
この老人の教えが私を強くしていくキッカケになろうとは、このときは思いもしなかった…
〜 ドセ・ムーリとの戦いが今始まる 〜
オジサン勇者「ノーディ」は、真の勇者になれるのか!?