私は今、強烈な使命感に駆り立てられ…

無我夢中でキーボードを叩いている。
ことの発端は、深夜に起きた『ある事件』がきっかけだった。
その事件によって、私たちの平凡な夫婦生活は180°反転し、冷戦時代が幕を開けたのだ。
たとえるなら、大型巨人が壁を打ち破り、多くの巨人たちが壁内へ侵入してきた某マンガのように、衝撃と緊張感だろうか…
私たち夫婦の身に、一体何が起きたのか?
今はめっちゃ夫婦円満です!とまではいかないものの、以前のお互いに干渉しない冷戦夫婦時代に比べると、お互いに思いやりのある平和な夫婦生活を送っています。
この記事のエピソードは、あくまで昔の話だといういうことをご理解の上、お読みください。
楽しい空間が地獄に変貌!夫婦を襲う強制クエスト
あれは妻と私、そして友人の3人でワイワイとお酒を飲んでいた、まだ少し肌寒さを感じる、3月の深夜1時をすぎた頃だった。
さっきまで笑い声がこだます楽しい空間は…
突然、キンキンに冷めた地獄の空間へと変貌した。
まるでRPGゲームのボス戦の前の静けさと、

おぞましい地鳴り音が響く、そんな空間だった。
【第一の試練】怒号と罵声を荒げる妻
妻はバッと立ち上がり、私を指差してこう言った。
そう。妻が…

キレたのだ。
みるみるうちに鬼のような形相へと変貌していく表情。
容赦無く飛んでくる怒号と罵声のデスボイス。
まるで悪魔に取り憑かれてしまったように、キレ散らかす妻が目の前にいたのだ。
ブチギレた妻の目は…

完全にキマっていた。
その場にいた友人は、おそらく同じ心境だったに違いない。

なぜ妻が突然ブチギレたのか全く理解できず、完全に沈黙する私と友人。
妻の炎はさらに燃え上がり、大量の「死の言葉」を私に向けて放ってきた。
(きっとドラクエだったら、棺桶になって教会にいることになっていただろう。)
ある程度の誹謗中傷には耐久性があった私も、面と向かって言われるのは辛い。
心臓に毛が生えてるんじゃないかと思うほど毛深く心の防御力が高くても、言葉の暴力と刃は容赦なく襲ってくる。
次第に妻の怒りに乗せられた私は、友人の目の前で…

夫婦揃って即興ラップバトルのディスり合いを披露することになった。
交互に二人の間を飛び交う口撃は、かれこれ15分ほど続いた頃だった。
衝撃的な光景を目の当たりにすることになる!
【第二の試練】殺意の波動に目覚めし妻
テーブルに置かれたレモンサワーのビンを手にとった妻。
そのままビンを大きく振りかぶり

力を溜め出したのだ。そして私にこう叫んだ。
その姿たるや、

HUNTER×HUNTERでネフェルピトー戦で急成長したゴン!
背中からもの凄く禍々しいオーラが
漂っているように見えた。
妻からのプレッシャーに頭がおかしくなってしまった私は、自分の頭を指差し、こう言ってしまった。
余計な一言だった。その言葉を聞いた妻は…
振りかぶっていたビンを、真っ直ぐに振り下ろしてきたのだ。
回避能力には自信があった。とっさに回避しようとしたものの…
致命的な事実を忘れていることに、コンマ2秒後の世界で気づくことになる。
30歳を超え、体力と運動能力が低下していたのだ。イメージでは20代のような動きだったが、リアルは違った…

結局、避けられずに頭にビンの角が命中。
もしも、角じゃなくて本体が会心の一撃で入っていたら、頭はパッカーンと割れていたかもしれない…
と思いながらも、妻への怒りと恐怖で呼吸が乱れていく。
その時だった!
この張り詰めた緊張感を乗り越える「ある技」を使うことを閃くのだった。
焦り、不安、恐怖に煽られた心を鎮めるために、深く深呼吸。
妻からは常に「死」を漂わせる

強烈なプレッシャーが飛んでいた。
心の落ち着きを取り戻した私は、妻にゆっくりと呪文(言葉)を唱えた。
今の澄み切った心なら、きっと届くだろうと信じて。
一瞬…

と静まり返る空間。
どうやら、気のせいだったらしい。
さらに妻が炎上してしまった。むしろバックドラフトに近い、爆発だった。
【第三の試練】音速のコンビネーションラッシュ!世紀末覇者拳王になった妻
妻が暴れてこれ以上周りに危害を加えないように、必死に妻を静止!
かつて剣の道を志した私は多少の痛みには慣れていた。
だがしかしっ!平和主義な私は、喧嘩が苦手というかめちゃ嫌いだ。
何よりも、この場には私たち以外に友人がいる。心の中で修羅場に巻き込んだ友人への申し訳なさがどんどん募っていたのだ。
ブチギレた妻を、映画エクソシストの神父になったつもりで、

必死に心の中で何度も十字を刻んだ。
背後で大丈夫かと心配そうに見守る友人に、
と背中で語りつつも、申し訳なさが圧倒的に増えていった私は、気づくと友人の方を振り返り謝罪していた。
妻と友人の間に板挟み状態になったその一瞬を妻は見逃さなかった。
なぜか背中越しにヒシヒシと感じるプレッシャー。パッと振り返ったみた瞬間…

正拳突きからのローキックで私の体勢を崩したあと、正中線四連突きを叩き込んできた妻。
人間の正中線上にある急所のうち、金的→水月→喉→人中の順番で一挙動で打ち込む技のこと。
そこからは防戦一方だった…
コンビネーションラッシュが30発ほど続く…
もはやずっと妻のターン状態。
そうやって自分をガンジーだと見立て、非暴力・不服従の信念の旗を掲げ、必死に耐え続けた。
でもね。全然止まないの暴力の雨が。暴風域に達しちゃってるのよ、暴力が。
ガード越しでも容赦なく、私のライフポイントを削っていった…
気づけば私はたった小一時間で夫婦に訪れる3つの界層のほぼ全てをコンプリートしていた。
【第四の試練】顔面アイスグラス!罪汚れを払う妻
あの日、あのとき、あの場所で…
誰よりも強く!強く!!強く!!!
そう神様に願った。天まで届けと、もういいだろうと。和睦したいんですけどと。
そのときだった!
まるで雲の隙間から

と、微かな光が差し込む、そんな幻想的な風景が見えた気がした。
私の純粋な想いはきっと天へ届いたのだろうか、いや、きっと届いたに違いない!!
次の瞬間、妻は落ち着きを取り戻し始め、ゆっくりと椅子に腰掛けようとしていたのだ。
私は椅子に腰掛ける妻の姿を見て、「クララが立った!」と歓喜したアルプスの少女ハイジのように
と歓喜していた。
しかし…運命とは残酷なものだ。
妻が椅子に座り、これで終りだと思ったことが甘かったのだ。
ニーチェの言葉を借りるなら、『神は死んだ!』と言いたい。
妻は氷とお酒が並々と入ったグラスを手に取り、
私の顔面へぶっかけたのだ。

ゆっくりと飛んでくる氷とお酒の塊たち。
私の目に見えたそれらは、完全にドラクエの氷系呪文「ヒャド」のエフェクトそのもの。
気づいた時には、全身と床がビショビショだった。
まるで時が止まったような静けさが漂う。

気づけば私は無意識のうちにこう呟いていたのだ。
妻への恐怖、そしてとどめの一撃によって、私のライフポイントはゼロになっていた…
妻はそう言葉を吐き捨て、

戦場を後にしたのだった…(続く)

10年間で10職以上の転職経験を持つキャリアアドバイザー。多くの転職経験を通じて、「どんな仕事(内容)をするか」よりも、「どんな働き方(向き合い方)をするのか」かが手にする成果や人生の幸せを決めることに気づく。現在は「仕事辞めたい」と悩む人に向けて、働き方が変わり、市場価値の高い輝く仕事人になるための情報発信をしている。
